世界初 最新のゲノム情報を駆使したサンゴ礁保全プロジェクト「OISTサンゴプロジェクト」が始動
沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、海の日の7月17日に、「OISTサンゴプロジェクト」を始動します。
サンゴ礁は、海の生物種のおよそ30%が暮らしていると言われる、地球上で最も生物の多様性が豊かな場所のひとつです。私たちの生活に多くの恵みをもたらすだけでなく、天然の防波堤として沿岸部を守り、観光客を惹きつけ、地域の経済を支える役割も果たしています。
しかし、世界中のサンゴ礁は、人間活動や気候変動の影響を受け、これまでにない規模と速度で消滅が進んでいます。
本プロジェクトでは、OISTが確立した環境DNA技術によるサンゴ礁のモニタリングと、最新のゲノム解析技術を駆使した調査研究を通して、沖縄をはじめとする世界中のサンゴ礁の保全活動に取り組みます。
本日行われたプロジェクト発表会では、OISTのカリン・マルキデス学長が、「本プロジェクトは、強力なゲノム科学と結びついた前例のないサンゴ礁保護プロジェクトです。また、地元の子どもたちをはじめ、人々に環境や生物多様性について学ぶ機会を提供し、みなさまにも参加していただくものです。」と紹介しました。
本プロジェクトの発起人である、OISTマリンゲノミックスユニットの佐藤矩行教授は、発生・進化・分子生物学者として無脊椎動物のホヤを中心に研究してきました。「50年に及ぶ研究人生で、これほどサンゴの研究に夢中になるとは思ってもいませんでした。しかし、ここ沖縄でサンゴと接し、サンゴの研究者と出会い、そしてサンゴの保全に取り組む人たちとのめぐり合いを通じ、これまで研究してきた知見を活かすことで、サンゴや海のために貢献したいという思いが沸き上がりました」と述べました。
マリンゲノミックスユニットは、2011年にサンゴ、2013年にサンゴと共生し光合成をする褐虫藻のゲノム、2017年にはサンゴを食い荒らすオニヒトデのゲノムを世界に先駆けて解読しました。ゲノムは生物を理解するために必須の遺伝情報の全てです。これらゲノム情報を基に、サンゴのゲノムを高精度で解析する技術の開発や、海水から得られる環境DNAでサンゴを特定する技術など、サンゴに関するさまざまな発見・技術開発を行ってきました。
本プロジェクトには、国内企業8社(株式会社NTTドコモ、株式会社 沖縄観光開発、オセアナ株式会社、株式会社かりゆし、株式会社財全エネシフト、セコム琉球株式会社、株式会社りゅうせき、琉球セメント株式会社)(あいうえお順)が当初のスペシャルパートナー企業として参画します。発表会では、各社代表の出席を賜り、本プロジェクトにかける期待を寄せていただきました。
今後、OISTのある恩納村で養殖サンゴ育成による生物多様性回復の調査を行う予定のほか、今年秋ごろから座間味島近海のモニタリング調査が開始される予定です。
本プロジェクトへの資金調達を主導するOISTアドバンスメント・オフィサーの佐藤士文さんは、「このプロジェクトを成功させるためには、多くの企業や個人の皆様の支援が必要です。一緒にサンゴ礁や沖縄、そして世界の海を守りませんか。ぜひ力を貸してください」と、プロジェクトへの賛同を募りました。皆様からの温かいご支援をよろしくお願いいたします。
プロジェクトご支援については、こちらから:https://www.oist.jp/ja/oist-coral-project
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