【まとめ記事】世界海の日記念!あなたが気になるOISTの海洋研究は?
6月8日は、世界海の日。海を讃えると同時に、世界が直面する海洋に関する課題について考える日です。
沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、サンゴ礁が広がる沖縄の美しい海に面して位置しています。この海は、多様性に富んだ生物の宝庫。さらにOISTのキャンパスから数キロ圏内には、希少なマングローブ林が広がり、近海には貴重な生態系が形作られる深海熱水噴出孔もあります。
しかし、海の生態系はいま、環境の変化によって起こる様々な課題に直面しています。海岸線付近のサンゴ礁は、沿岸開発にさらされ、かつてのマングローブ林が養殖場や人口岸になり、深海熱水噴出孔でレアアースの採掘が計画されています。
こうした沖縄特有の自然環境や、世界中で海洋が直面している課題は、多くの研究の機会を提供してくれます。 OISTでは、海洋科学の研究・教育のための世界最高水準の環境を提供しています。恩納村瀬良垣にあるOISTマリン・サイエンス・ステーションでは、現在、13の研究ユニットが気候変動、遺伝学、海洋生態物理学などの幅広いテーマの研究を行っています。
ここでは、2023年の世界海の日に、みなさんにぜひ読んでいただきたい記事をピックアップしてご紹介します。
これまでに最も読まれた海洋関連研究の記事トップ5(日本語記事)
1. 巨大な単細胞生物「海ぶどう」の全ゲノム解読 (2019年)
OISTは、沖縄県恩納村漁業協同組合との共同研究で、沖縄県を代表する食用海藻である、海ぶどう(標準和名・クビレズタ)の全ゲノム解読に成功しました。研究成果は養殖や海の環境の課題解決へ繋がると期待されています。
2. 沖縄近海の軽石:いつまで? そして、どこへ? (2021年)
2021年の小笠原諸島海底火山噴火により、沖縄に大量の軽石が漂着しました。OISTの研究チームは、軽石の漂流シミュレーションを行い、沖縄における軽石の今後の影響を予測しました。
3. イカの養殖システムの開発に成功(2022年)
食用として人気のイカはこれまで養殖が困難でしたが、OISTの研究チームが、商業化可能なシステムを開発しました。
4. タコのゲノムを解読する (2015年)
OIST研究者らがタコのゲノムの解読に成功し、世界で初となる頭足類の全遺伝情報が明らかになりました。
5. 脊椎動物門、新たな創設(2014年)
脊椎動物は、これまで脊索動物門の一員である亜門とされてきましたが、最新の研究成果をもとに、新たに動物門として扱うことが提唱されました。
注目!最新の海洋関連研究記事トップ5
1. 人間の活動が魚の健康に与える影響は?
自然が残る沖縄の海岸線は4割未満。私たちの生活や産業はそこに住む魚たちにどのような影響を与えているのでしょうか?遺伝学的アプローチで海岸の魚の健康状態を評価するプロジェクトが始動しました。
2. サンゴ環境DNA解析法の有効性を確認
サンゴ礁の表面海水1Lに含まれる環境DNAを調べることによってそこに棲息する造礁サンゴを属のレベルで識別できる新技術で、海に潜ることなく、大規模かつ網羅的にサンゴ礁に棲息する造礁サンゴ属の広がりを調査する道が開けました。
3. 海の温暖化がカクレクマノミの仔魚の成長、代謝率、遺伝子活性に与える影響
海の温暖化によるわずか3℃の海水温上昇が、カクレクマノミの仔魚の成長と発育に大きな影響を及ぼす可能性があることが明らかになりました。
4. 温暖化が進む世界を太平洋の小さな島から予測する
フランス領ポリネシアのタイアロ環礁には、固有の魚類群が棲息しています。その謎を解き明かすため、研究グループが現地調査に向かいました。
5 ヒトデと比べて見えてきた、私たちのからだづくりの進化
動物進化研究における最大の未解決問題、脊索動物の形態の進化に、より詳細なゲノム情報と発生メカニズム情報で迫ります。
OISTで海洋関連研究をする研究チーム(ユニット)のご紹介
https://www.oist.jp/ja/research/specialty/marine-science
- 生物の非線形力学データサイエンス研究ユニット(ジェラルド・パソ准教授)
- 大進化ユニット(ローレン・サラーン准教授)
- 進化神経生物学ユニット(渡邉寛准教授)
- ゲノム・遺伝子制御システム科学ユニット(ニコラス・ラスカム教授)
- 海洋生態進化発生生物学ユニット(ヴィンセント・ラウデット教授)
- 海洋生態物理学ユニット(御手洗哲司准教授)
- 海洋気候変動ユニット(ティモシー・ラバシ教授)
- 進化・細胞・共生の生物学ユニット(フィリップ・フスニック准教授)
- 非線形・非平衡物理学ユニット(マヘッシュ・バンディ教授)
- マリンゲノミックスユニット(佐藤矩行教授)
- 複雑性科学と進化ユニット(ウルフ・ディークマン教授)
- 計算行動神経科学ユニット(サム・ライター准教授)
- 神経活動リズムと運動遂行ユニット(マリルカ ヨエ・ウーシサーリ准教授)