OISTで長く研究に携わる高橋教授が2022年IUPSフェローに選出

高橋智幸教授が2022年国際生理科学連合(IUPS)のアカデミーフェローに選出されました。

Group photo of the Cellular and Molecular Synaptic Function Unit, that Prof. Tomoyuki Takahashi (fifth from left) leads.

生理学は、生体の働きのプロセスやメカニズムを研究する学問で、対象は分子レベルの化学的相互作用から全身のシステムにまで及びます。

沖縄科学技術大学院大学(OIST)の高橋智幸教授が率いる細胞分子シナプス機能ユニットは、神経伝達という脳内のニューロン間で交わされるコミュニケーションの維持に関わるメカニズムを研究しています。具体的な研究対象は、ニューロンのシナプス前末端で、この部分は記憶、感覚、運動機能など、脳のあらゆる活動において重要な役割を担っています。

その研究成果は、パーキンソン病やアルツハイマー病など、広範な疾患に応用できる可能性を秘めています。「これらの疾患の多くは、シナプスが正常に機能していないことに起因すると考えられますが、現状では、シナプス機能メカニズム自体の解明が十分になされていません」と高橋教授は説明します。

高橋教授は、シナプス機能を生理学的なアプローチによって解明するため、シナプスのシグナル伝達の動的な変化の根底にあるメカニズムを解析しています。研究チームは自他のグループによって明らかにされた新たな知見を、生理学的な重要性の観点から評価しています。

「私たちは、シナプスのシグナルを直接記録し、さまざまな分子的・薬理学的操作を行って、科学的疑問を解き明かすための決定的な実験を行うよう心がけています。非生理的な人工産物は、しばしば新発見のように見えるので、細心の注意を払って間違えないようにしています。」

同ユニットは、神経伝達を生体内システムとして研究し、そこから更に、神経疾患の治療手段を生み出したいと考えています。これは、人類の健康と社会のために生理学の研究・教育を発展させるというIUPSの目標に合致しています。

[高橋教授の研究ユニットによるアルツハイマー病に関連するタンパク質の研究についての記事をご覧ください。

IUPSは、「生理学への卓越した貢献」をしたフェローを毎年選出しています。同組織のウェブサイトによると、毎年、世界中から最大30名のフェローが選出されるそうです。高橋教授は、2022年フェローに選出された2名の日本人研究者のうちの1人です。

高橋教授は、次のように述べています。「私をこのフェローシップに推薦してくれた過去の同僚に感謝します。これからIUPSのメンバーとして協力していくことを楽しみにしています。」

高橋教授と細胞分子シナプス機能ユニットのその他の研究については、こちらからご覧いただけます。

専門分野

広報・取材に関するお問い合わせ
報道関係者専用問い合わせフォーム

シェア: