新入生・新教員、そして将来目標を歓迎
この度、沖縄科学技術大学院大学(OIST)で行われた入学式で、ピーター・グルース学長は、今後10年間で目指していく目標について要点を紹介しました。(ピーター・グルースOIST学長の式辞全文はこちらからお読みいただけます。)
新しくOISTの教育研究チームに加わったメンバーらは、獅子舞や、現代風にアレンジされた伝統音楽、アクロバッティックな舞を楽しみました。OIST研究科長であるウルフ・スコグランド教授は、それぞれの新入生に対して歓迎の言葉を述べ、学生評議会代表のアドリアン・ダビドさんは先輩として貴重なアドバイスを述べた上で、新入生への友情と支援を誓いました。
今年の新入生は、900人以上の世界中の優秀な若者の中から選ばれた54名(46名が入学式に参加)です。初めてほぼ全大陸からの出身者が揃いました。沖縄をはじめとする日本、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカをはじめアフリカ南部のレソト出身者までです。
グルース学長は「皆さんをOISTに迎えることができたことを、誇りに思います。そして、皆さんに大きく期待しています。これから先、人類であることの意味が変わっていくでしょう。変革をもたらす数々のテクノロジーがすでに、パラダイムシフトを引き起こしています。激変する世界は、深刻な問題にも直面しています。気候変動、エネルギーや安全な飲料水の提供、世界的な人口移動問題、拡大する都市化などです。これらの複雑な問題の解決には、全世界のあらゆるセクターの協力と専門知識の集結が不可欠です。学際的な基礎研究こそが問題解決の鍵となります。OISTはその学際的な研究を提供できる類まれな大学です。」と新入生を激励した後、新しく教員として着任したメンバーの紹介を行いました。
その中で、昨年だけでも、10名の教員のポジションに対して、1,500名以上の応募があったとし、この事実が、先進的な科学と革新の目的地としてのOISTの評判が高まっていることを裏付けている、と述べました。
「OISTでは、沖縄の発展に直接貢献できるような研究がすでに多く行われています。沖縄文化の保存や、ヒアリ防除、サンゴ礁の保全などです。最近では、新竹積教授のチームが開発した、波力発電機のプロトタイプを、恩納村瀬良垣沖に設置しました。これにより、より持続可能なエネルギーを沖縄にもたらすことができます。目標は技術移転とイノベーションを促進して、沖縄経済を活性化し、ハイテク企業と給与水準の高い仕事を沖縄に呼び込むことです。」
入学式は、OISTの新たな戦略計画2020-2030に記載されているいくつかの重要な目的を共有する機会でもありました。この計画には今後10年、またその先に達成すべき野心的な目標と、その達成方法が明示されています。
2年後、開学からちょうど10年目の年に、OISTは教員100名体制での教育研究を目指します。それからさらに10年後には、200名体制を目標とします。教員に伴って、建物、機器、住居、施設の拡充も必要になってきます。現在、OISTスタッフの約2割は沖縄出身者であり、その数はOISTの発展とともに増加すると予想されています。