沖縄科学技術大学院大学 次期学長にピーター・グルース博士が決定
この度、沖縄科学技術大学院大学学園(OIST)理事会は、ピーター・グルース博士をOIST学園の次期理事長兼学長に選任しました。グルース博士は遺伝子制御および発生生物学の分野で国際的に著名な研究者で、2002年から2014年までドイツのマックス・プランク学術振興協会(MPS)会長を務めました。MPS会長の前職では、ドイツのゲッティンゲンにあるマックス・プランク生物物理化学研究所分子細胞生物学部部長を16年間務めました。同博士は2011年11月の本学創立時から理事長兼学長を務めるジョナサン・ドーファン博士の後任として、2017年1月1日に就任します。グルース博士は本日、鶴保庸介内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、クールジャパン戦略、知的財産戦略、科学技術政策、宇宙政策)や内閣府幹部と東京で面会しました。
次期学長就任にあたりグルース博士は、「OISTは、世界の科学教育研究において、おそらく最も興味深いイニシアチブを掲げ、最高峰の研究大学機関になるという非常に高い志を持っています。日本政府は、急速に変化する研究学術界やビジネス界において、未来のリーダーを輩出する国際的で学際的な大学院大学を構築するための明確なビジョンを持っています。この度、次期学長としてOISTを率いる機会を頂き光栄に思います。大いなる期待をもって、今後を楽しみにしています。」と述べました。
MPSは、国際的に高い評価を得ている科学技術の研究機関で、これまで33名もの(MPSから18名、前身のカイザー・ヴェルヘルム研究所から15名)ノーベル賞受賞者を輩出しています。欧州においては最先端の基礎研究機関といえます。MPSは、80もの研究所において、5470名のテニュア付研究者、4600名の奨学生と客員研究員を含め、約1万7千人もの職員が在籍しています。グルース博士の会長時代、MPSは新たな科学分野を新設・拡充するとともに、マックス・プランク研究所の国際化、学生や若手研究者を対象とした研究サポートやトレーニングなどの育成強化を図りました。また、同博士は中央政府や地方政府と緊密に連携することにより、MPS全体の財政基盤安定化に向けて大きな功績を残しました。
グルース博士は、研究成果の技術移転やイノベーション創出の分野においても主導的役割を担ってきました。医薬品会社の共同設立者であり、現在は、シーメンス・テクノロジー&イノベーションカウンシルの議長を務めています。複雑な研究組織運営を主導してきたグルース博士のこれらの豊富な経験、および国際的なネットワークと将来に向けたビジョンは、OISTが今後も引き続き世界中から卓越した教員や学生を採用し、世界の学術界と産業界との連携を図り、発展する上で、そして、将来の沖縄の発展におけるOISTの役割強化にあたり、極めて重要です。
グルース博士の学長任命をもって、世界規模の次期学長選考は終了となります。2015年10月のOIST理事会会合で本選考開始が発表され、同年11月にアルブレヒト・ワグナー博士を議長とする、OIST理事8名と教員4名から構成される選考委員会(PSC)が立ち上がりました。2016年1月初旬には、研究・教育分野の主要専門誌などへの掲載を通じて公募を開始しました。その後、自薦・他薦による応募者140名以上の中から、厳格な審査・評価、およびビデオ会議による第一次面接を経て、5名の最終候補者(内、女性2名)がPSCとOIST理事会運営委員会により選出され、面接が行われました。その中でも傑出していたのがグルース博士で、2017年1月1日付で同博士を次期理事長兼学長に任命することがその後OIST理事会の全会一致で承認されました。この度、正式な任命手続が完了したこととなります。