OISTに冬到来~コンサートの音色と共に
クラッシック音楽のアンサンブルが、指揮者の一振りを介さず完ぺきな調和で始まる瞬間、そこには確かな才能が存在します。2012年12月22日、その才能を持ち合わせた5人の沖縄出身の演奏者が、OISTに集まった人々を優美な音色で魅了しました。
OISTのニール・コールダー副学長(広報担当)はコンサート冒頭の挨拶で、「昨日、私はとても残念で仕方がありませんでした。晴天のぽかぽかした陽気がウィンターコンサートにあまりにも相応しくないと思ったからです」と述べ、「それが今日になって、雲に覆われた肌寒い天候に恵まれました。」と言って会場の笑いを誘いました。
まるで奏者全員の指が繋がっているかのように、フルートとヴァイオリン、ヴィオラ、チェロは一糸乱れずモーツァルトのフルート四重奏曲1番第1楽章を奏で、OISTウィンターコンサートの幕を開けました。ヴィオラ奏者の新垣伊津子さんの深い音色が印象的だったドボルザークとシューベルトの楽曲に続き、ピアニストの高良仁美さんによる瑞慶覧尚子作曲「沖縄のうたによる即興曲」が披露され、客席からは大きな拍手が沸き起こりました。プログラム前半は、マスネとヴィエニヤフスキーの楽曲を屋比久潤子さんの華麗なヴァイオリン独奏が締めくくりました。OISTの講堂は音がよく響くように設計されており、音響スピーカー無しで、演奏者の音が会場全体に届きます。
短い休憩のあと、ビゼーとボルヌの曲目でプログラム後半が始まりました。両楽曲共、渡久地圭さんの軽やかなフルートの旋律が印象的でした。コンサートが終盤を迎え、ブラームスの名曲で知られるピアノ四重奏曲「ジプシー風ロンド」に差し掛かる前には、サン・サーンスとポッパーの楽曲が演奏され、城間恵さんのチェロの音が低いうめき声のように響き渡りました。アンコールでは、季節に合わせ、グルーバー作曲の有名なクリスマスソング「きよしこの夜」のアンサンブルが奏でられました。
コンサート閉会の挨拶では、コールダー副学長がまず5人の奏者に対し素晴らしいパフォーマンスを披露してくれたことに謝辞を述べ、その上でご来場下さった一般の方々とOIST関係者に対してもお礼の言葉を述べました。今回のイベントは、県民の皆さまがOISTをコミュニティの一員として歓迎して下さることに感謝の念を表すことを目的の一つとして開催されました。同副学長は、「コンサートが終わったので、天気もすぐに回復するでしょう。」と付け加え、挨拶を締めくくりました。コンサートが終わると、演奏者全員に赤いバラの花束が贈られ、観客の一部が奏者たちをとり囲み「世界最高水準」の演奏に対し喜びの声を伝えていました。