アオリイカから新種のサナダムシを発見

沖縄科学技術大学院大学(OIST)物理生物学ユニットの研究チームが、野生のアオリイカ(Sepiotheutis lessoniana)の腸と胃から2種類の条虫類(サナダムシとも呼ばれる)を発見しました。
「イカから発見された条虫はすべて幼虫の段階にあり、イカを中間宿主として利用していることが示唆されます」と、メメット・アリフ・ゾラル博士は話します。一つは新種で、学名はNybelinia enterika(「enter」はギリシャ語で「腸」を、「ika」は日本語で「イカ」を意味する。チームは和名を「イカチュウチュウ」と提案している。) で、もう一方はPhoreiobothrium属の未知の種です。「イカの腸と胃以外からは発見されなかったことから、条虫は腸壁に限定されている可能性があります。」
研究チームはこの度 Journal of Invertebrate Pathology に発表された論文に、新種2種の形態に関する説明に加え、ミトコンドリアゲノムや多くの核ゲノム領域についても詳しく解説しています。ズデニェク・ライブネル博士は「特にN. enterikaが平均1ミリ、Phoreiobothriumがその半分ほどであることを考えると、これらの配列が寄生虫感染の診断に役立つバイオマーカーとなる可能性があります」と説明します。
ルツィア・ジフチャコヴァ博士は「これらの条虫類が人間の健康に及ぼす危険性はまだよく分かっていません。しかし、条虫類がイカの組織を消化する際に使用する酵素は、人間にアレルギー反応を引き起こすことが知られています」と話します。
なお、この寄生虫は、自然環境から採取したイカにのみ発見され、飼育されたイカからは発見されませんでした。
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