共同ワークショップ「Ocean-人類と気候変動がもたらす影響」を開催
2022年4月、沖縄科学技術大学院大学(OIST)と東北大学は、第2回目となる海洋科学の合同ワークショップを開催しました。「Oceans—and the impact of humans and climate change(海洋-人類と気候変動がもたらす影響)」と題した当ワークショップは2日間にわたって開催され、気候変動がサンゴ礁や養殖などのシステムに与える影響についての研究が発表されました。太平洋と東シナ海に囲まれ、多様な海洋環境を有する沖縄は、海洋研究を深めるには絶好のロケーションです。
同ワークショップは、OISTと東北大学との協力関係を強化するための取り組みのひとつです。OISTでは、海洋科学関連の研究を行う研究ユニットが増え、世界水準の海洋科学研究や教育を行う環境が構築されつつあります。宮城県仙台市に位置する東北大学は、優れた応用海洋生物学プログラムに定評のある、由緒ある大学です。両大学の連携により、全国規模による、気候変動、遺伝学、海洋生物物理学などの研究の連携が可能になります。
2021年に続く2回目のワークショップでしたが、東北大学のメンバーが対面で参加したのは、今回が初めてでした。前回は、新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限のため、参加はオンラインのみでした。2022年はハイブリッド形式でのイベント開催となり、会場には40名、オンラインでは50名の参加者が集いました。中には、台湾、スウェーデン、パラオなどの遠方からの参加者もみられました。東北大学の近藤倫生教授は「本日このワークショップに参加できることを、とても嬉しく思います。このワークショップは、2年以上前から企画されていたものです。」と冒頭のあいさつで述べ、心待ちにしていた対面式によるイベントの実現を祝いました。
ワークショップでは、両大学の研究者によるパネルディスカッションが行われ、市民科学(シチズン・サイエンス)がもたらすメリット、海洋生態系の複雑性、そして海洋管理においてグローバルとローカルの両方の視点で捉えることの重要性などが議論されました。
午前中には、東北大学、OIST、そして琉球大学との連携強化を目的とした「2023年度テーマプログラム」も発表されました。同プログラムは、大学間の研究パートナーシップに投資することで、若い研究者の育成を目指し、環境DNA解析などの新しい手法の利用や、学際的な研究を奨励します。
イベント初日の午後には、東北大学、OIST、琉球大学からそれぞれ異なる分野の研究者が研究発表を行い、学際性のある海洋研究の取り組みを訴求しました。
「このワークショップで発表する科学者たちは、必ずしも従来の海洋生物学や海洋科学の研究者ではなく、さまざまな分野の研究者が参加しています」と、OISTのゲノム・遺伝子制御システム科学ユニットの主任研究員であり、副研究担当ディーンのニコラス・ラスカム教授は強調します。
イベントの最終日には、海洋科学に関連するOISTの研究ユニットより様々な研究が紹介されました。また、ワークショップでは、対面およびオンラインによるネットワーキングイベントや、ポスターセッションが行われました。
このハイブリッド型ワークショップにより、OISTと東北大学との研究協力関係が強化され、今後も協力を継続していくことが重要であることが確認されました。