ニューロンの「森」を3Dで再構築
OISTのヘルミナ・ネドレスク(Hermina Nedelescu)研究員は、成体小脳内のプルキンエ細胞が密集した「ニューロンの森」の謎を解明するため、遺伝学、顕微解剖学、そして計算解剖学を組み合わせた研究を行っています。
プルキンエ細胞は、小脳に存在する大型のニューロン(神経細胞)です。長く伸びて樹枝状に分枝する「樹状突起」と呼ばれる構造を持ち、運動機能の調節において重要な役割を果たしています。
この動画の作成では、数多く隣接した「樹状突起」を3Dで再構築するため、「Brainbowマウス」と呼ばれるマウスを供試動物として用いました。他の生物の遺伝子を組み込んだこの遺伝子改変マウスでは、各プルキンエ細胞で3種類(赤、黄、青)の蛍光タンパク質の発現量が異なります。この蛍光タンパク質の発現量の違いによって、それぞれのプルキンエ細胞が異なる色に見えるため、脳(brain)内にある多数の細胞が全体として虹(rainbow)のように見えることから「Brainbow」と呼ばれています。
この動画では、100個のプルキンエ細胞を識別することができ、その構造や位置を細胞同士で比較することができます。計算脳科学ユニットでは、このような方法を用いて「プルキンエ細胞の樹状突起の森」の構造を解明することを目標に、研究を続けています。
動画作成者:ヘルミナ・ネドレスク(Hermina Nedelescu)[OIST計算脳科学ユニット(代表研究者 エリック・デ・シュッター(Erik De Schutter)博士)]。共同研究者:アランナ・ワット(Alanna Watt)(カナダ・マギル大学)、ヘルマン・クンツ(Hermann Cuntz)(ドイツ・ゲーテ大学)。
(文:クーパー・マイケル)