入居企業インタビュー: Sage-Sentinel Smart Soultions
貴社の事業内容について教えてください。
Sage-Sentinelでは、高齢者向けの転倒防止ソリューションを提供しています。私たちの技術は、転倒の3〜5秒前にそれを予測し、体の動きをモニタリングして振動によるフィードバックを送ることで、ユーザーに「動きを止める」か「近くのものにつかまる」ように促します。このシステムは、脳が人の動きを予測する「生物的動作認識」の概念に基づいています。
私たちは2つのアプローチを開発しており、1つはカメラとAIを使ってリアルタイムで動きを監視する方法、もう1つはモーションキャプチャーベルトを使用する方法です。いずれの方法も、高齢者や妊婦、子どもたちの転倒リスクを軽減することを目指しています。
OISTイノベーションインキュベーターに入居した理由を教えてください。
私たちのターゲット市場は高齢者施設や65歳以上の方々で、日本はこの年齢層が世界で最も多い国です。OISTイノベーションアクセラレーターに参加する機会を得た際、日本は私たちの製品を展開するための最適な市場だと感じました。特に日本では、高齢者ケアの分野で人手不足が深刻化しており、技術による解決が不可欠です。さらに、日本は新しい技術に対してオープンであり、インフラも整っているため、事業を拡大する上で非常に理想的な環境でもあります。日本で成功した先には、他の高齢化が進む市場にも展開していく予定です。
OISTイノベーションインキュベーター現在の利用方法を教えてください。
2022年からインキュベーター内にデスクを借りており、チームミーティングやクライアントとの打ち合わせに会議室を頻繁に利用しています。また、プロトタイピングや3Dプリント、回路設計にはドライラボを活用しています。24時間アクセス可能な点も助かっており、長時間作業が必要な時にも便利です。また、OISTイノベーションインキュベーターを中心としたコミュニティに参加していることで、製品開発を進めるために必要なリソースや環境を得ることができていると感じています。
OISTイノベーションインキュベーターに入居するメリットとして感じていることを教えてください。
最大のメリットは、OISTイノベーションチームと近い距離でサポートを受けられることです。また、他のスタートアップや研究者とのつながりを広げ、ネットワーキングや製品に対するフィードバックを得られる点も有益です。日本市場でネットワークを構築する上では、OISTからの支援やインキュベーターで得られたつながりが不可欠であったと感じています。
どんな企業にOISTイノベーションインキュベーターへの入居をおすすめしたいですか?
バイオテクノロジーやディープテックなど、特にウェットラボを必要とする企業にとって、OISTイノベーションインキュベーターは非常に価値のある場所です。また、私たちのような、ヘルステックや高齢者ケアの分野に携わる企業も、OISTのリソースやネットワークから多くのメリットを享受できると思います。
その他、入居していただけるとありがたいのは、スタートアップをサポートする企業、例えば管理業務や助成金申請の専門知識を提供する企業です。特に海外のスタートアップにとって、日本の助成金制度を理解するのは難しい場合があるので、この分野に強みを持つ企業がいればとても助かります。
OISTイノベーションインキュベーターに今後期待することがあれば教えてください。
OIST関係のスタートアップに留まらず、沖縄のスタートアップが日本全体でより注目されるようになることを期待しています。沖縄のスタートアップエコシステムはまだ若いので、東京のような大都市の市場が沖縄の潜在力をもっと評価してくれることが重要ですが、いずれVCが沖縄発のスタートアップへの投資を競い合うようになるのではないでしょうか。投資家が積極的に沖縄のスタートアップに投資機会を探しに来てくれるようになると嬉しいですね。そうなれば、さらに多くのイノベーションや成長が沖縄から生まれる好循環が生まれるのではないでしょうか。
総じて、私たちはOISTイノベーションインキュベーターから多くの重要なサポートを受けており、このコミュニティの中で今後も事業を成長させていくことを楽しみにしています。
(取材日:2024年8月22日)