パッシブ音響モニタリング
パッシブ音響モニタリングは、人間のバイアスをできるだけ排除して環境を分析する方法です。レコーダーを使って、毎日決まった時間に環境音をサンプリングしています。
多くの動物は人間の存在を察知すると行動を変容させます。私たちが出す音によって、多くの動物が遠ざかったり、隠れたりするかもしれません。また、研究者を毎日フィールドに送り出すことは、大変な労力と経済的負担を強いることになります。パッシブ音響モニタリングは、データ収集の効率を最大限に高め、かつ、収集したデータの全体的な質を向上させることができます。
ノグチゲラやヤンバルクイナ、リュウキュウコノハズクなど、一般的な動物から珍しい動物まで、さまざまな音声を聞くことができます。また、このレコーダーのおかげで、1年を通して、または1日を通して、音響環境の変化を追跡可能です。日内周期、朝の合唱、道路の音など、人為的な音や自然発生音の変化を検出することができます。また、アカショウビン、サンコウチョウ、シロハラなど、夏と冬の渡り鳥の到来を特定することも可能です。また、雷雨や台風の前後の音風景の変化も聞くことができます。
この長期的プロジェクト「パッシブ音響モニタリング」で、沖縄の環境とそこに生息する生物たちの変化を、今後何年にもわたって追跡し続けたいと考えています。沖縄には豊かな歴史があり、ここ100年の間に外来種の侵入や在来種の減少によって生態系は大きく変化しました。このデリケートな生態系は、私たちが最善を尽くさなければ、さらに多くの種が失われる恐れがあります。