科学のスケッチ展 ~ノーベル賞受賞者OISTに集う!~
5月13日より、OISTにおいて「Sketches of Science ― 科学のスケッチ」と題した写真展が始まりました。この写真展は2012年6月、スウェーデンの首都ストックホルムのノーベル博物館を皮切りに始まった世界巡回展で、日本では初めての開催となります。ドイツの写真家フォルカー・シュテーガー氏が撮影した50点近くの作品は、ノーベル賞受賞者が自身の発見に関する直筆スケッチと共に1枚のポートレートに納まっているというユニークなもので、同時にインタビュー音声や映像なども公開されています。初日のオープニングセレモニーには、巡回展の主催者やシュテーガー氏らを招き、多くの来場者と共に写真展は盛大に幕を開きました。
OIST理事会共同議長で、1981年にノーベル生理学・医学賞を受賞したトーステン・ヴィーゼル博士は「受賞者は皆、幸せそうな表情で写真に納まっています。訪れた皆さんがあっという間に見終えてしまったと思えるくらい、楽しい写真展になることを期待しています」と挨拶しました。これを受け、同じくOIST理事で2001年ノーベル生理学・医学賞受賞者のティム・ハント博士は「受賞者たちが幸せな表情をしているのは、賞を受賞したからではありません。素晴らしい発見をしたからです」と述べた上で、受賞には、努力、先見力、発見の他に幸運が味方したのだと語りました。
ノーベル博物館のオロブ・アメリン館長は、ノーベル賞を受賞する人材を輩出する方策として、OISTのような教育機関の存在を挙げました。そして、栄誉ある賞の受賞には、素晴らしい人材、資金、協力関係、機動力が必要であると共に、先見力と克己奮闘する姿勢が大切であると話しました。さらに各分野における「ヒーロー」に学び、刺激を受けることも重要であると強調し、「今日ここにヒーローたちを届けに参りました」と写真展開催への意気込みを語りました。写真家のシュテーガー氏は、過去の科学者のポートレートには人物の人柄や受賞理由を表したものが殆どなかったと触れた上で、「受賞者自身が被写体となり、自己表現のプロセスを楽しみ、作品を作り上げて欲しいと思いました」と制作の経緯を語りました。最後にOISTのジョナサン・ドーファン学長は、「難しい表情の科学者でさえ、幸せな表情に変えることが出来たのはシュテーガー氏の手腕に他なりません」と締めくくり、会場を沸かせました。
この写真展は7月6日まで、OISTトンネルギャラリーにて入場無料で開催されています。
西岡 真由美