4年ぶりにOISTで響いた琉球の音色
第7回琉球古典野村流伝統音楽協会公演「琉球の響き」が3月17日(日)、沖縄科学技術大学院大学(OIST)で開催されました。琉球古典音楽 野村流伝統音楽協会(以下、野村流伝統音楽協会)による琉球伝統芸能の公演「琉球の響」は、OISTでこれまで年次イベントとして開催されていましたが、新型コロナウイルスの影響で約4年ぶりの開催となり、美しい唄三線、箏、太鼓等の音色がOIST講堂に響きました。
野村流伝統音楽協会は、沖縄の伝統文化、伝統芸能の継承、発展に務めており、2022年に創立40年を迎えました。玉城利和会長は「世界各国から職員や学生が集まるOISTで、普段は琉球伝統文化に触れる機会の少ない方々にも楽しんでもらえる場にしたい。伝統芸能を通して地域とOISTのような国際的なコミュニティとの懸け橋になれれば嬉しい」と話されました。当日はOISTの教職員をはじめ、地元の方々や観光客の方々にもお越しいただき、大盛況となりました。
今回の公演では、琉球古典音楽、琉球舞踊、組踊(セリフ・踊り・音楽で構成される歌舞劇)の演目を盛り込んだ10演目が披露されました。
琉球古典音楽は、沖縄県の無形文化財に指定されており、琉球王朝時代より宮廷の士族の間でたしなまれてきた音楽ですが、今日では県内のみならず県外、海外など多くの人々によって演奏されています。また中国からの使節・冊封使をもてなすため首里城で演じられた「組踊」と「琉球舞踊」は現在、国の重要無形文化財に指定されています。さらに、300年余りの歴史を有する「組踊」は、2010年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。
演目紹介はOISTのスタッフの松田美怜さん、知花千亜希さんによる沖縄の言葉「うちなーぐち」、英語、日本語の3言語で行われました。二人はOISTでうちなーぐちや沖縄の文化への認知度を高めるための活動を行っている「Eedee(えーでー)」グループのメンバーでもあり、「えーでー」とは、うちなーぐちで「共に働く」という意味を持ちます。沖縄県民から大切にされているうちなーぐちでの進行に客席からは笑みがこぼれ、老若男女にご来場いただいた会場は終始アットホームな雰囲気に包まれました。
世代を超えて受け継がれる伝統芸能を、子どもたちも可愛らしくも力強く披露してくれました。今回の演者の最年少は5歳、最年長は90歳と、観客のみならず演者の年代も幅広いものとなりました。
OISTには世界各国、県内外出身の1,300名を超える職員や学生が所属していますが、沖縄の文化に親しみたいと、琉球舞踊・伝統芸能の鍛錬に励む人も多くいます。今回は沖縄出身のスタッフである知念亜美さん、德本菜穂子さんの二人が琉球舞踊で、幕開けの開幕斉唱ではOIST教授のニック・シャノン教授、スタッフの新井拓さん、大久保知美さん、喜屋武 真里奈さん、ミラーメリアさんが三線演奏で特別出演し、野村流伝統音楽協会のみなさまと共演をさせていただきました。個人的にも野村流伝統音楽協会に所属し、地謡(じかた、組踊や琉球舞踊などで音楽を担当する人)を目指して三線を学んでいるミラーさんは、休憩時間に箏と共に三線と歌を披露しました。
最終演目の組踊「万歳敵討(まんざいてぃちうち)」では、立方(役者)の親しみやすい役柄と迫力のあるセリフ回しに、地謡による立方の細かな心情を表現する琉球音楽が合わさり、普段は研究発表や講演などで使用することの多いOIST講堂が、伝統芸能を体感できる特別な空間となりました。
参加者からは、「とても楽しく見ることができました。8ヶ月の子も楽しんで見ていました」「OISTに来ることができて嬉しかったですし、古典を聴く機会も同時にいただき、とてもいい時間でした」「うちなーぐち、英語、日本語の3言語での司会に感動!そして、OISTを身近に感じることができました」「OISTは科学のイメージでしたが、琉球の文化も学べ、楽しめました 」「変わった建物や広い敷地にびっくりしました。素晴らしい人材が多く生まれることを期待しています。」などたくさんの嬉しい感想が寄せられました。
わったー オイストー、なまからん うちなーぬ しまじまんかい くらちょーみせーる かたがたとぅ えーでーし、うむっさる イベント ありくり ちゅくてぃ いちぶさいびーん。 (OISTはこれからも地域のみなさまと協力し、たくさんの方に楽しんでいただけるイベントを実施していきます。 )
記事執筆:上原美奈絵
イベントの写真をOIST Flickrからご覧いただけます。
OISTでの沖縄関連イベント
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