ブレナー博士は1927年に南アフリカで生まれ、ウィットウォーターズランド大学にて解剖学および生理学の修士課程を首席で卒業し、オックスフォード大学で博士号を取得しました。その後、英国ケンブリッジの分子生物学研究所に入所し、そこで1979 年から医学研究協議会長も務めました。
博士は、遺伝学および分子生物学の分野で、卓越した研究を行いました。1960年代初頭、メッセンジャーRNAの存在を共同発見し、mRNAのヌクレオチド配列がタンパク質中のアミノ酸の配列順序を決定することを証明しました。この発見により、1971年に、ラスカー基礎医学研究賞を受賞しました。また、遺伝学、神経生物学、発生生物学において、Cエレガンスという線虫をモデル生物として研究に用いることを確立させ、この分野の研究の先駆けとなったことで、2002年にロバート・ホロビッツ博士とジョン・サルトン博士と共に、ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
研究以外では、1996年にカリフォルニア州バークレーに設立された分子科学研究所やOISTなど、世界中に複数の国際研究機関を創設する上で重要な役割を果たしました。ブレナー博士は、2005年から2011年まで沖縄科学技術研究基盤機構の理事長を務め、世界最高水準の教育研究を行うOISTの盤石の基礎を築きました。OIST創設の功績を称え、2017年には日本政府より旭日大綬章が贈られました。ブレナー博士はOISTからの退職を前に、OIST博士課程の授業料および研究費を支援する奨学金の創設のため、5百万円の寄付金を贈呈しました。
ブレナー博士は、ソーク研究所、分子細胞生物学研究所、スクリプス研究所など、多くの研究機関にも携わりました。